平成24年9月に初台一丁目計画の住民説明会のご案内をもらった時、
事業主:積水ハウス(株)開発事業部
設計者:(株)フォルム建築計画研究所
施工者:積水ハウス(株)東京特建支店
という記載を見て、積水ハウスのマンションが建つんだ〜としか思わなかった。
幹線道路沿いのワンルームマンションが10階建・40戸だったので、14階建てで106戸という高さと戸数には少々驚いたが・・・
積水ハウスは新宿区市谷山伏町にもマンション建設を計画していて、施工するのは鹿島建設らしいという話を聞いた近隣住民が積水ハウスに質問したところ、初台1丁目計画のマンションを建設する会社はまだ決まっていませんと答えたらしい。
その話を聞いた時も、スーパーゼネコンの鹿島建設でも下請工事をやる事があるんだなぁ位にしか思わなかった。
着工予定の平成25年1月15日を過ぎてから、一部の近隣住民のところにだけ、マンションを建設する会社が新井組に決まったと挨拶に来た。その時、積水ハウスが持って来た書類を見せてもらって、初めて違和感を感じたのだ。
施工者と元請? 『建築主』と『施工者』から書面が出されているのではなく、『施工者』と『元請』で出されているところがまず不思議だった。
建築工事にはたくさんの建設業者が関係する。
「施工者」という代表会社がいて、その下に一次下請け,二次下請け・・・とピラミッドみたいにたくさんの建設業者が関係しいているイメージを描いていたのだが、その頂点になる会社が積水ハウスなのか新井組なのかがかわからない・・・
施工者が複数いるような工事だったら、「○○・△△建設企業体」みたいな代表となる組織をつくるだろうし・・・
さらに、工事協定書(案)を見せてもらったら、ますますわからなくなった!
作業時間・休日・現場管理の件など、ほとんどの文章が「丙(新井組)は・・・」で始まっているのだ。
ということは、積水ハウスと新井組が一緒に協力してマンションを建てるのではなく、新井組が建てるのか?
でも新井組が「施工者」ではないとはどういう事なのだろうか?
このマンション建設に係わる全ての建設業者を代表して「施工者」の積水ハウス東京特建支店が協定書を締結するならまだ理解できるが・・・
積水ハウスと新井組の関係が理解できなかったので渋谷区のあっせん制度を利用したが、「この工事は積水ハウスの自社施工です」と言われただけで意味がわからないまま打ち切られた。
その後、工事説明会が開催されたのだが、『施工者というものが請負によるものと自社施工するものがあり、今回は後者の自社で施工するという形で当社が施工者と名乗っています。それで、今回は確認申請書も施工者積水ハウス東京特建支店で出してますし、労基署も事前に確認してまして施工者を名乗るのであれば、現場に対して『品質管理』 『安全管理』 『工程管理』 『原価管理』 そういったものを管理する事で施工者を名乗るというような確認をしてますので、積水ハウスからは現場に担当する一人、担当者を付けますし、それで施工者を名乗ってます。』という意味のわからない説明しかしてもらえなかった。
そして、近隣住民の誰とも工事協定を締結しないまま4月1日から着工し、現場の仮囲いには、建築計画のお知らせ看板と共に、下記のようないくつかの看板が掲示されたのだが・・・
初台1丁目計画 工事看板
新井組の建設業の許可票には、「専任」の「監理技術者」という人の名前が記載されている。これは、ある程度の規模の工事では、元請会社が配置することをを義務づけられている技術者で、他の現場との兼務が許されない。現場の「所長」と言われている人である事が多い。中高層のマンション建設では、請負金額からいって、ほとんどが「専任の監理技術者」を配置すべき工事になるだろう。
初台一丁目計画は、積水ハウスの自社施工だと言い張っているので、当然積水ハウスも専任の監理技術者を配置すると思っていたのに、「非専任」の「監理技術者」しか配置していない。しかも、現場には主に新井組の2人の現場監督しかいないのだ。
建設会社の自社施工現場というのは、どこもこんな感じなのだろうか?と疑問に思い、清水建設,大和ハウス,長谷工,東急建設など大手企業の自社施工現場に行って確かめてみたが、どの現場にも、施工者である建設会社から「専任の監理技術者」が配置されていた。
初台一丁目計画の現場では、施工者としての仕事は新井組が行っており、積水ハウスは建築主として現場を管理しているようにしか見えないのだが、元請会社の新井組自体が自社の立場を理解していないので、誰にも説明を求めようがないのだ。
この施工者についての疑問があることが、他のマンション建設反対現場にはない、初台1丁目計画の特徴だと思っている。